夏のご挨拶である『暑中見舞い』や『お中元』。
なんとなくは理解しているつもりでも、いざ送るとなったら、どんなことに気を付けたらいいのか、どんなものを選んだらいいのかなど、分からないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、暑中見舞い・残暑見舞い・お中元それぞれの違いやマナーについて解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
暑中見舞い・残暑見舞いとお中元の違い
まずはじめに、それぞれの違いをおさらいしましょう。
暑中見舞いとは
暑中見舞いは、「夏の厳しい暑さの中、いかがお過ごしですか」という、相手の体調を気遣う意味合いの強い挨拶です。
品物ではなく、挨拶文を送るのが一般的。暑中見舞い用のハガキに、一筆添えて出すのが主流です。
送る時期は、7月中旬から立秋(8月8日ごろ。2020年は8月7日)の間。
送る範囲に特に決まりはなく、仲のいい友人、久しく連絡を取っていない人、お世話になった人など、挨拶したい人に贈ります。年賀状を送る範囲くらいと考えてよいでしょう。
目上の人には『暑中御伺い』になります。
残暑見舞いとは
残暑見舞いは、暑中見舞いを過ぎてから送る挨拶です。
立秋を過ぎても夏の暑さは続くので、相手の健康や体力を気遣うという意味があります。
送る時期は、立秋(8月8日頃)以降~8月末まで。
送る範囲は暑中見舞いの考え方と同じです。
目上の人には『残暑御伺い』として出します。
お中元とは
夏の挨拶とともに品物を贈るのがお中元になります。
- 夏の挨拶
- 半年間お世話になったお礼
- 今後ともよろしくお願いします
お中元には以上の意味があり、今年の始めから半年間、とくにお世話になった方に贈ります。
基本的にはお中元を贈った相手には冬にお歳暮を贈り、それを翌年以降も繰り返すことになります。
お中元を贈る時期は、7月1日~7月15日まで。
旧暦に合わせて贈る風習のある地域では、8月1日~8月15日に贈ります。
贈る相手が旧暦の風習がある場合、相手に合わせて8月に贈るのがマナーです。
贈る範囲は、特別お世話になった人、義父母、恩師・上司、昨年も贈った相手など。決まりはありませんが、何年も続けて贈るものなので、末永くお付き合いを続けていきたい相手に贈ると良いでしょう。
お中元の贈り方
お中元を贈るときのマナーについてご説明します。
お中元の相場
お世話になった度合いや相手との関係性にもよりますが、3,000~5,000円くらいが相場です。
お中元は一度贈ったら終わり、ではなく、その年のお歳暮も、来年のお中元も…と長く続くものです。
また、お歳暮にはお中元より高い品物を贈るのがマナーですから、そのことも踏まえて負担にならない金額にするのがおすすめ。
- 親・親戚・・・3,000~5,000円
- 友人・・・3,000円程度
- 上司・・・5,000円程度
- 特にお世話になった方・・・10,000円程度
上司に送る場合は、社内規則を確認しましょう。社内でのお中元やお歳暮を禁止しているケースもあります。
また、高価なものを贈って相手の負担にならないか、お中元を贈っても問題のない立場の人かどうかも考慮する必要があります。
熨斗・水引き
紅白蝶結びの水引きの熨斗紙を掛けます。
表書きは『御中元』『お中元』。
お中元の時期を過ぎてしまった場合は『暑中御見舞』『暑中御伺』『残暑御見舞』『残暑御伺』などにします。
お中元の選び方
夏に贈るお中元は、さっぱりするものや体を冷ましてくれるものなどが好まれます。
相手の家族構成や好みに合せて選びましょう。
デザート・ジュース・スイーツ・果物・そうめんなどが定番。
夏バテする時期なので元気の出るものとして、お肉や鰻などを贈ることも。量よりは品質重視がポイントです。
単身・夫婦のみのご家庭には、2人で楽しめるプレミアム感のあるビールも定番。
子持ち家庭には、みんなで食べられるお菓子やハム・ウィンナーなどが喜ばれます。
取引先やオフィスに持っていく場合は、社員大勢で分けられるよう、小分けになったスイーツがおすすめ。
お中元Q&A
お中元にまつわる疑問にお答えします。
お中元を贈ってはいけない相手は?
学校の先生・病院の先生、政治家・公職についている人などは、規則で贈り物受け取ることができないことが多いため、贈らない方が無難です。
喪中の場合の暑中見舞い・お中元は送ってもいいの?
暑中見舞いもお中元も、お祝い事ではないので贈っても構いません。
しかし、四十九日の忌明けまでは慌ただしく、心も落ち着いていない時期なので、忌明け後に贈るのが良いでしょう。
お中元の時期をすぎてしまったら『暑中見舞い』『残暑見舞い』として、それぞれの時期に合った様式に変えて贈ります。
お中元を今年だけ贈りたい場合は?
今年だけお世話になった場合、1回だけ贈りたい方もいらっしゃるかも知れません。
お中元は長期にわたってのお付き合いになるものなので、1回だけなら贈らないのがベスト。
お中元ではなく、『御礼』などの形で贈るようにすれば問題ありません。
お中元のお返しはどうする?
お世話になったことの感謝の気持ちなので、基本的にお返しは不要です。
お中元を受け取ったら、日をあけずお礼状を出しましょう。
高価なものをいただいた場合や、対等な関係なので借りを作りたくない場合など、どうしても返したいときは、お中元ではなく残暑見舞いや旅行のお土産などの形でお返ししましょう。
日本ならではの美しい風習
暑中見舞い・残暑見舞い・お中元のマナーについてお紹介してきました。
贈る時期や意味合いも少しずつ違いますが、このような季節の挨拶は日本的で非常に風情がありますよね。
正しいマナーで、感謝の気持ちを伝えましょう。